バセドウ病眼症(甲状腺眼症)について

7e570b25c2ae75910cf63cea1ab7b39c_sバセドウ病眼症は、眼が飛び出す(眼球突出)、物が二重に見える(複視)、両眼がまっすぐ向かない(斜視)、眼が閉じられない(兎眼)、まぶたが腫れる(眼瞼腫脹)、眼が大きくなる(眼瞼後退)、眼の奥が痛む(眼奥痛)、まぶたや白目が赤くなる(充血)などを症状とする疾患です。まぶたの変化に伴い、さかまつげ(睫毛内反)を起こすこともあります。また、重症な場合、極端に視力が低下する(圧迫性視神経症)場合があり、早急な治療を要します。

バセドウ病眼症は甲状腺(関連)眼症とも呼ばれますが、甲状腺ホルモンの高値が引き起こす症状はごく一部です。「甲状腺は良くなったのに眼が治らない」という方が多いのはそのためです。また、甲状腺ホルモン値が正常なために、バセドウ病眼症という診断がなかなかつかない場合もあります。

バセドウ病眼症の症状は、ごく一部の症状を除き、“まぶたや眼球を動かす筋肉(外眼筋)の炎症”によって引き起こされます。筋肉の炎症は、周囲の脂肪組織にも広がり、様々な症状を引き起こします。甲状腺ホルモン値を正常に近づける治療だけでは炎症は改善しません。ただし長い期間を経れば、炎症は自然と沈静化に向かう場合がほとんどです。その場合、症状も少し和らいできます。

バセドウ病眼症の診断と病状の分析・治療

まず、様々な角度から検査を行い、バセドウ病眼症の診断と病状の分析を行います。中でも炎症の強さと範囲は、治療方針を決定する上で大変重要です。炎症の評価にはMRI検査が必要で、大変多くの情報を得ることができます。

炎症がまだ強い場合は、まず炎症を抑え込む必要があります。その方法は、通院でできるものから入院を必要とするものまで様々です。炎症の強さと範囲に応じ、最も適切な方法を選択します。炎症を抑え込むことで、病状の悪化を食い止めることができますが、それだけですべての症状が改善するわけではありません。炎症がもたらした様々な変化は、炎症が治まった後も残り、いわば後遺症として患者さんを悩ませることとなります。

炎症が既に治まっている方、あるいは炎症を抑え込む治療を終えた方は、次に、症状を和らげる治療を検討します。症状を和らげるには、多くの場合、手術を必要とします。例えば、眼球突出を治す手術、複視の原因である斜視を治す手術、兎眼を矯正する手術などです。患者さん毎に異なる多彩な病状を分析し、手術を計画します。

当院では、炎症に対する治療とすべての手術を、日帰り、局所麻酔で行っています。入院や全身麻酔を必要とする方には、適切な医療機関へのご紹介を行います。

治療方針を決定する上で、MRI検査は大変重要です。当院を受診された方には、最適な医療機関をご紹介し、MRI検査を受けて頂いております。既にバセドウ病眼症の診断を受けておられる方は、もし事前にMRIを撮像してから受診頂くと、診断や治療を早めることができ、ご負担を軽減することができます。お気軽にご相談下さい。

ご紹介下さる先生方へ:MRIを事前に撮像頂ける場合は、下記の撮像条件を推奨しております。造影は必要ありません。
「眼窩部拡大、3㎜ slice、T1:脂肪抑制無し、T2:STIR、coronalおよびsagittal」

院長とバセドウ病眼症

2019年5月、隈病院の非常勤を退職させて頂きました。神戸大学病院に勤務していた2005年からですから、約15年にわたり、貴重な診療経験を積ませて頂いたことになります。神戸大学病院および神戸海星病院時代には、年間のべ2000人規模の眼症診療に携わって参りました。今後は『せきむかい眼科クリニック』での診療に専念させて頂きますが、これからも積極的に取り組んで参ります。当院へも、北は福島県から、南は鹿児島県まで、多くの方が受診されています。数少ない専門医療機関として、内科、脳外科、放射線科の先生方と深く連携し、これからも尽力して参ります。
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*北は福島県、南は鹿児島県まで、多くの方が通院されています。

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